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なりすまし犯はどうやって特定する?経産省職員逮捕から読み解く、名誉毀損の「民事と刑事」

なりすまし犯はどうやって特定する?経産省職員逮捕から読み解く、名誉毀損の「民事と刑事」

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先日、経済産業省の職員が、知人女性になりすまして多数の宛先に名誉を傷つけるメールを送信したとして、名誉毀損の疑いで逮捕されるというニュースが報じられました。

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このような「なりすまし」による誹謗中傷は、匿名性の高いネット社会において個人・企業問わず深刻な脅威となっています。しかし、多くの人が疑問に思うのは「どうやって見えない犯人を特定するのか?」そして「なぜネットの嫌がらせで警察が動き、逮捕にまで至ったのか?」という点ではないでしょうか。

今回は、なりすまし犯を特定するための具体的なステップと、本件が「民事」ではなく「刑事事件」として扱われた理由について解説します。

1. 匿名のアカウント・なりすまし犯を特定する「発信者情報開示請求」

ネット上のなりすましや誹謗中傷に対し、被害者がまず直面する壁が「相手が誰かわからない」ということです。相手が特定できなければ、損害賠償請求も刑事告訴もできません。

そこで用いられるのが 「発信者情報開示請求」 という法的手続きです。基本的な流れは以下の通りです。

  1. IPアドレス等の開示: まず、なりすましメールが送信されたサーバーや、投稿が行われたSNSの運営者(コンテンツプロバイダ)に対し、書き込んだ人物の「IPアドレス」や「タイムスタンプ」の開示を求めます。
  2. 契約者情報の開示: 次に、判明したIPアドレスをもとに、犯人が利用したインターネット接続業者(携帯キャリアやプロバイダ)に対し、その時間にそのIPアドレスを使っていた「契約者の氏名・住所」の開示を求めます。

現在では法改正により、これらを一つの手続きで進める仕組み(発信者情報開示命令)も整備されていますが、実務上は以下の点に注意が必要です。

特定までにかかる期間

裁判所を通じた手続きとなることが多く、通信履歴の開示から契約者の特定に至るまで、一般的に半年〜1年程度の長い期間を要します。被害を受けてから解決までの精神的・時間的コストは決して小さくありません。

IPアドレスが不明な場合(メールアドレス等の開示)

SNSなどの仕様により、問題の投稿時のIPアドレスが保存されていないケースもあります。しかし現在は、一定の要件を満たせば、アカウントに紐づく 「電話番号」や「メールアドレス(ログイン時の情報)」の開示請求も可能 となっています。これにより、IPアドレスが不明なケースでも犯人に辿り着ける可能性が広がりました。

特定が極めて困難になるケース(VPN等の利用)

一方で、犯人が意図的に身元を隠すために 「海外のVPNサービス」や「プロキシサーバー」を経由してアクセスしている場合 、日本のプロバイダに足跡が残らないため、特定が非常に困難(事実上不可能)になるケースも存在します。

犯人は「バレない」と思っていても、大半のケースではデジタル上の足跡から逃れられません。しかし、一部の巧妙な手口が存在することや、長期戦になるリスクがあることは知っておくべき事実です。


2. なぜ今回は「民事(損害賠償)」ではなく「刑事(逮捕)」になったのか?

通常、ネット上の誹謗中傷トラブルは、特定した相手に対して慰謝料などを請求する「民事事件」として処理されるケースが大半です。警察に相談しても 「まずは当事者同士で…(民事不介入)」 と言われてしまうことも少なくありません。

では、なぜ今回の経産省職員のケースでは、警察が動き「逮捕」という強力な強制捜査に踏み切ったのでしょうか。そこには以下の3つの理由が考えられます。

① 被害の「公然性」と「悪質性」が極めて高い

名誉毀損罪が成立するには「公然と事実を摘示」することが要件となります。今回は「多数のアドレスにメールを送信した」と報じられています。少人数への送信であっても、そこから不特定多数に広まる可能性(伝播性の理論)があれば公然性が認められます。執拗かつ多数への拡散という手口が悪質と判断された可能性が高いです。

② 被害者による強力な「刑事告訴」

名誉毀損罪は、被害者からの告訴がなければ起訴できない「親告罪」です。被害者側が泣き寝入りせず、証拠(なりすましメールの文面や送信履歴など)をしっかりと保全し、警察に被害届および告訴状を受理させたことが最大の要因です。

③ 証拠隠滅の恐れ

警察が「逮捕」に踏み切る要件には「逃亡の恐れ」または「証拠隠滅の恐れ」があります。メールやネットの履歴は犯人が自身のPCやスマホから削除(証拠隠滅)しやすいため、身柄を拘束してデバイスを押収する必要があったと推測されます。


3. 泣き寝入りしないための「初動」と「証拠保全」

今回の事件から学べる最大の教訓は、 「なりすましや誹謗中傷は、正しい手順を踏めば犯人を特定し、刑事罰すら科すことができる」 ということです。

しかし、そのためには 「証拠」 が不可欠です。
発信者情報開示請求の際に必要となる通信ログ(IPアドレスの記録)は、プロバイダ側で数ヶ月(携帯回線なら約3ヶ月程度)で消去されてしまいます。つまり、被害に気づくのが遅れれば遅れるほど、通信ログが消え、犯人特定は不可能になってしまうのです。


まとめ:早期発見があなたの会社と尊厳を守る

企業にとっても、自社の名前や経営者の名前を騙る「なりすまし」は、一瞬で社会的信用を奪う凶器です。

VPNなどを使われて特定が困難になるリスクや、ログの保存期間を考慮すると、被害を最小限に抑え、確実に犯人に法的責任を取らせるためには 「誹謗中傷やなりすましが発生した瞬間に気づき、証拠を押さえること」 に尽きます。

オンライン風評監視サービス「Kannon」では、24時間体制でネット上の風評リスクをモニタリングし、悪意ある投稿やなりすましの兆候をいち早く検知します。「ログが消えて犯人が逃げ切る」という最悪の事態を防ぐために、まずは自社のネット上の現状をチェックしてみませんか?

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