
【例文あり】悪質な書き込みを消す「削除請求」の文面・理由の書き方【広報・法務・事務所スタッフ向け】
※この記事は、企業の広報・法務担当者様や、芸能・VTuber事務所のスタッフ様、全国展開するクリニックの担当者様向けの記事です。
はじめに
自社ブランドや所属タレントに対する悪質な書き込みを発見し、弁護士に依頼する前に、まずは自分たちでサイト管理者へ削除依頼を出しようと検討していませんか?
しかし、いざ対応しようとしても「どの窓口からどうやって申請すればいいのか」「法的に有効な理由の書き方が分からない」と手が止まってしまう方は少なくありません。
本記事では、削除に向けた正しい手順(専用フォームからの申請〜法的な書面の送付)と、そのまま使える権利侵害のケース別(名誉毀損・プライバシー侵害など)の具体的な書き方を解説します。
【最重要】いかなる申請の前にも必ず「証拠保全」を行う
結論: 削除依頼のアクションを起こす前に、必ず問題の書き込みのスクリーンショットを撮影し、URLを控えて証拠を保全してください。
理由: 焦って削除依頼を行い、万が一投稿が消えてしまうと、その後「誰が書き込んだのか」を特定するための「発信者情報開示請求」ができなくなるリスクがあるからです。
具体例: スマートフォンではなくPCのブラウザを使用し、「該当のURL」「投稿日時」「投稿内容」が1つの画面内に明確に収まるようにスクリーンショットを保存します。総務省のガイドライン等でも、法的手続きには改ざんされていない正確な証拠記録が不可欠であるとされています。(出典:総務省 違法・有害情報相談センター)
【kannonでの証拠保全(Xに対応)について】
①誹謗中傷として判定された投稿について「証拠スクリーンショットを保存」をクリック
②証拠保全が可能です。
【お知らせ】手作業での証拠保全に限界を感じていませんか? > URLの管理やスクリーンショットの保存を毎日手作業で行うのは大変です。
ネット上の悪評を自動監視するAIサービス「Kannon」の無料プランなら、毎朝10時に昨日の状況をAIが整理し、いざという時のために法的対応に進める証拠を蓄積できます。
ステップ1:各プラットフォームの「専用フォーム」から削除申請をする
結論: 証拠保全が完了したら、まずは各媒体が用意している標準の「報告・削除フォーム」から申請を行うのが実務上の基本ルートです。
理由: X(旧Twitter)やYouTube、Googleマップなどの海外プラットフォームは、独自のガイドライン違反や法的リクエストを処理するための専用システムを構築しており、まずはそのレールに乗るのが最も迅速に審査される方法だからです。
| 媒体名 | 削除請求の手順と特徴 |
|---|---|
| Google検索・マップ | Googleの「法律に基づく削除リクエスト」フォームや、Googleビジネスプロフィールの「クチコミの報告」機能から申請します。 |
| X・Instagram 等のSNS | 各アプリ・サイト内の「報告(レポート)」機能を使用します。該当ポストの正確なURLを指定し、ポリシー違反または法的権利侵害として報告します。(例:Xの違反報告窓口) |
| 匿名掲示板(5ちゃんねる等) | サイトごとに専用の削除依頼スレッドやメールフォームが存在します。掲示板独自のローカルルールに沿った対応が求められます。手順を間違えたり感情的に反論したりすると、依頼自体が晒されて二次被害を招くリスクがあるため注意が必要です。 |
ステップ2:解決しない場合は「送信防止措置依頼書」で法的に要求する
結論: ステップ1のフォーム申請で削除されなかった場合や、国内プロバイダ等で最初から書面での対応を求められる場合は、法令に基づく「送信防止措置依頼書」を送付して正式に要求します。
理由: プラットフォーム側(掲示板の管理人や運営会社)は表現の自由との兼ね合いがあるため、「単に気に入らない」という感情的な理由では応じてくれません。2025年4月施行の「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)※旧・プロバイダ責任制限法」などのフォーマットに沿って、「どの法律の、どの権利が、どう侵害されているか」を客観的に示す必要があります。
注意点: 2026年現在において、この送信防止措置依頼書のフォーマットに基づいて対応しているとみられるのは主に日本企業です。noteやはてなブログ、アメブロなどの国内媒体には有効な手段となります。
具体例: 以下は、お問い合わせフォームやメール、郵送でそのまま応用できる汎用的なテンプレートです。送信防止措置依頼書の書式に沿って内容を記載する際の参考にしてください。
送信防止措置依頼(削除請求)テンプレート
【件名】 > 送信防止措置依頼(削除請求)の件
【本文】 > サイト管理者 様
お世話になっております。
私は、株式会社〇〇の法務担当(または〇〇の代理人)の[氏名]と申します。貴殿が管理・運営される以下のウェブサイト(またはSNSアカウント)において、当社の権利を著しく侵害する投稿が確認されましたので、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダ責任制限法)に基づき、速やかなる該当記事(投稿)の削除(送信防止措置)を依頼いたします。
掲載されている場所(URL) > [該当のURLを正確に記載]
掲載されている情報(該当箇所) > * [投稿日時:〇年〇月〇日 〇時〇分]
- [投稿内容:該当部分をそのままコピー&ペースト]
侵害されたとする権利 > [例:名誉権、プライバシー権、営業権など]
権利が侵害されたとする理由 > [※後述の「パターン別例文」を参照し、具体的に記載してください]
上記の書き込みにより、当社は多大な不利益を被っており、放置すればさらに被害が拡大する恐れがあります。つきましては、内容をご確認のうえ、速やかに該当情報の削除をお願い申し上げます。
なお、本件に関してご不明な点がございましたら、以下の連絡先までご一報ください。
【連絡先】 > * 会社名:株式会社〇〇
- 担当者名:〇〇 〇〇
- 電話番号:03-0000-0000
- メールアドレス:xxxxx@yyyy.co.jp
【権利侵害のパターン別】削除を求める理由の書き方と例文
フォームからの申請でも、送信防止措置依頼書を使う場合でも、削除請求を通すための最大のポイントは「権利が侵害されたとする理由」の論理性です。ここでは代表的な3つのパターンを解説します。
名誉毀損(社会的評価の低下)にあたる場合
- 結論: 投稿内容が「事実無根」であり、それによって「社会的な評価が客観的に低下したこと」を主張します。
- 理由: 名誉毀損が成立する一般的な要件としては、具体的な事実を適示して他人の評価を下げる行為が必要であるとされています。(出典:法務省 インターネット上の人権侵害をなくしましょう ※最終的な判断は弁護士等の専門家にご相談ください)
- 具体例: 該当の投稿には「株式会社〇〇は詐欺まがいの手法で顧客から金を騙し取っている」と記載されています。しかし、当社においてそのような事実は一切存在せず、完全な虚偽です。この事実無根の記載により、当社の社会的信用と企業ブランドが著しく毀損されており、名誉権の侵害にあたります。
プライバシー侵害にあたる場合
- 結論: 公開を望まない私生活上の事実(個人情報など)が無断で公開されたことを主張します。
- 理由: VTuberのいわゆる「中の人(前世)」の情報や、従業員の自宅住所などは、みだりに公開されない法的利益があるためです。
- 具体例: 該当の投稿には、非公開である当社所属クリエイターの本名および自宅の住所が詳細に記載されています。これらの情報は一般に公開されておらず、本人が公開を欲しない私生活上の事実です。本投稿により当該クリエイターの平穏な生活が脅かされており、明らかなプライバシー権の侵害にあたります。
営業妨害(偽計業務妨害など)にあたる場合
- 結論: 虚偽の風説を流布され、実際の業務に支障が出ていることを主張します。
- 理由: 刑法第233条の「信用毀損及び業務妨害」等に該当する可能性があります。(出典:e-Gov法令検索 刑法)飲食店や美容クリニックなどで「虫が入っていた」「無資格で施術している」などのウソを書かれると、予約キャンセルなどの実害が発生するためです。
- 具体例: 該当の投稿には「〇〇クリニックの医師は医師免許を持っていない」と記載されていますが、当院の医師は全員が正規の免許を保有しており、事実と異なります。この虚偽の風説の流布により、患者様からの問い合わせが殺到し、予約のキャンセルが相次ぐなど、当院の正常な業務が著しく妨害されております。
YouTubeやGoogle検索、Xなどで削除請求をする際のポイント
YouTubeやGoogle検索、Xなどの海外プラットフォームに削除申請をする際には、以下のようなポイントがあるとみられます。これはあくまでもkannonチームの主観となりますので、その点ご了承ください。
ポイント① 名誉毀損などの基準(構成要件)について米国法を用いている可能性が高い
削除請求をしていくなかで、感じるのが「日本の基準に当てはめて申請しても削除されない」という点です。例えば「名誉毀損」の例であれば、米国の方が「表現の自由」を重視する傾向にあるため、過激な投稿が日本よりも名誉毀損として認められずらい傾向にあります。
また、「削除してほしいなら裁判の判決を持ってきてほしい」というようなスタンスを感じることもあり、比較的裁判のハードルが高い日本人にとっては難しい壁として立ちはだかっています。
ポイント② 審査側は日本語話者ではない可能性がある
削除請求の審査では、AI審査を用いつつ、ケースに応じて人力で審査しているようです。しかし、返信の文面や返信者の名前などから推測するに、日本語話者ではない審査スタッフが翻訳を用いて審査している可能性があります。
そのため、日本語のあいまいな表現の説明がついてないように思われるときもあります。
ポイント③ 性的ワードには敏感な傾向がある
ここは削除請求する方にとってはよい話かもしれませんが、日本企業の審査よりも性的ワードについては敏感な傾向があるようです。例えば、「○○さんは不倫している」や「性的虐待をしている」、「児童に性的な虐待をしている」などといった誹謗中傷投稿には、比較的素早い対応をするときがあります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談を意図するものではありません。複雑な事案や、確実な法的対応をご希望の場合は、専門家(弁護士)へのご相談を推奨いたします。